ネギを始めとしてヒガンバナ科ネギ属の野菜は、他の作物とのコンパニオンプランツに用いられることが多いです。それだけ有用な特性がネギ属にはあるということです。私もホウレンソウと葉ネギを一緒に植えていますが、確かにえぐみは抑えられていると感じます。
そんなネギ属のコンパニオンプランツとしての相性や特性をまとめておきます。間違いなどがあれば、ご指摘いただけると幸いです。
まずは相性関係からみていきます。なお、記載内容については木嶋利男氏の書籍を参考にしています。初心者の私の野菜栽培には欠かせない良書です。
ネギ属との相性関係
ネギ属がコンパニオンプランツとなる(相性のよい)作物、あるいはネギ属と一緒に育てるのは避けたい(相性が悪い)組み合わせです。
ネギ属と相性のよい作物
メインで育てたい作物とネギ属を混植することで期待できる効果を一覧にします。
期待効果の記載内容はそれぞれ、「病気」は病気予防、「害虫」は害虫忌避、「生育」は生育促進の意味をあらわします。
メイン作物 | 科 | 対象ネギ属 | 期待効果 |
---|---|---|---|
アブラナ科:カブ、チンゲンサイ、コマツナなど | アブラナ | 葉ネギ、ワケギ、アサツキ、チャイブ | 病気、害虫、生育 |
アブラナ科:キャベツ、ハクサイ、カブ、ダイコンなど | アブラナ | ニラ | 病気、害虫 |
ウリ科:カボチャ、キュウリ、スイカ、メロンなど | ウリ | 長ネギ、チャイブ | 病気、生育 |
ナス科:ナス、トマト、ピーマンなど | ナス | ニラ | 病気、害虫 |
ヒユ科:ホウレンソウ、フダンソウなど | ヒユ | 葉ネギ、ワケギ、アサツキ、チャイブ | 病気、生育 |
イチゴ | バラ | ニンニク、長ネギ | 病気、害虫、生育 |
バラ科:ウメ、スモモ、アンズ、プルーンなど | バラ | ニラ | 病気 |
ネギ属と相性の悪い作物
ネギ属を混植することで障害が発生する恐れのある、相性の悪い組み合わせを一覧にします。
メイン作物 | 科 | 対象ネギ属 | 現れる障害 |
---|---|---|---|
ダイコン | アブラナ | 長ネギ | 枝根になる |
レタス | キク | ニラ | 生育悪化 |
イチゴ | バラ | ニラ | 生育悪化 |
ダイコンとニラ、イチゴとニンニクは相性がよいのに、なぜ上記の組み合わせだとダメなんだろうと不思議ですが、こうした例外もあるんですね。
ネギ属のコンパニオンプランツとして優れた特性
ネギ属をコンパニオンプランツとしてみた場合に優れていると思われる特性を挙げていきます。
抗生物質による病原菌の減少
ネギ属を混植すると病気にかかりづらくなるのは、上で記載したコンパニオンプランツの組み合わせすべてに病気予防の効果が期待できることからもわかります。
それがなぜかというと、ネギ属の根にはバークホルデリア・グラジオリという細菌が共生しており、ある種の抗生物質を発生させます。この抗生物質が土壌中の病原菌を減少させるということです。
この特性をより活かすためには、深く根を張るナス科には深根タイプのニラを、浅く根を張るウリ科には浅根タイプの長ネギを、それぞれ組み合わせるのが合理的です。
他の野菜と競合が起こりづらい
ネギ属は他の野菜との競合が起こりづらいため、混植しても生育に悪影響を与えることはあまりありません。
養分の観点では、ネギ属は単子葉植物で、有機物が分解した際にできるアンモニア態窒素を好んで利用します。一方、ホウレンソウなどの双子葉植物は、アンモニア態窒素からできる硝酸態窒素を好んで利用します。この違いにより養分の競合は起こらず、養分の吸収しすぎも防げるため野菜の味がよくなります。
また、ネギ属は縦に葉を伸ばすため、横に葉を広げる野菜と混植しても、お互いの邪魔になりにくい利点があります。
別の場所から移植できる
直根性の野菜は移植できませんが、ネギ属は比較的容易に移植できます。これにより、育てたい植物に合わせて株を移動させることができるので便利です。
なお、葉ネギやニラは分げつして株を増やせるのでお得感があります。長ネギはほとんど分げつしません。
ネギは土壌のpHをアルカリ性に傾ける
いいのか悪いのか明確に判断できませんが、ネギの根からは土壌のpHを高めるアルカリ性物質が発生しているそうです。
土壌がアルカリ性に傾きすぎるのは問題がありますが、雨の多い日本では土壌が酸性に傾きやすいので、酸性を中和することで間接的に他の野菜の助けになっているかもしれません。
なお、ニラからはこのアルカリ性物質が検出されず、ネギ特有の物質だと考えられるとのことです。
参考:http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result09/result09_08.pdf
ネギ属の育成期間について
いざコンパニオンプランツとしてネギ属を利用したいと思っても、メインの作物と育成のタイミングを合わせないと利用できません。ですが、一度大きく育てれば株分けができる便利な野菜でもあります。
ネギの類は種から育てても5カ月ほどで収穫できますが、スーパーで買える根がついている葉ネギを再利用するのも簡単です。
こだわりがなければ、長ネギの代わりにもできるというチャイブも、育成期間が短くおすすめできます。チャイブはアサツキと似ていますが、夏に休眠しないという特徴があります。
ニラは種からだと育成期間がとても長い(1年以上)ので、苗を購入した方がいいでしょう。私はよく調べずに種を買ってしまい後悔しました。
ニンニクは種ニンニクを秋に植え付けてから、翌年の初夏に収穫するイメージです。イチゴと同時期に植え付け、収穫ができると思います。
ネギ属のまとめは以上です。優れた特性をもつネギ属を上手に利用して、野菜づくりライフを楽しみたいと思います。
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