クローバーなどの雑草でうどんこ病を予防・抑制する

多くの植物がよくかかる病気のひとつ、「うどんこ病」をご存知でしょうか?葉が白い粉で覆われてしまうアレです。家庭菜園においても悩まされている方は多いと思います。トマトやキュウリなどの野菜も、うどんこ病にかかりやすいですよね。

うどんこ病には重曹やお酢、専用の薬剤などを利用して対処するというのが一般的だと思います。そんな中で、ありふれた雑草でうどんこ病を予防・抑制できるとしたら、どう思われますか?

シロツメクサ(ホワイトクローバー)

うちの菜園には河原や公園にも自生しているホワイトクローバー(シロツメクサ)を生やしており、今のところ作物のうどんこ病発症はありません。

もちろんそれにはちゃんとした理由がありますので、順を追って説明していきます。

うどんこ病について

まずはうどんこ病について要点を記載します。

うどんこ病の被害

うどんこ病にかかると、まず植物の葉に白い粉をまぶしたようになり、症状が進むと葉だけではなく茎やつぼみ、果実など植物全体に症状が及びます。そうなると植物は光合成ができなくなり、生長不良、酷ければ枯死を招いてしまいます。

うどんこ病菌の繁殖に適した環境

うどんこ病の原因はカビ(糸状菌)です。このカビの生育・繁殖に適した環境は次のとおり。

  • 生育適温は20~25℃くらい
  • やや乾燥している
  • 日当たりが悪い
  • 風通しが悪い
  • 窒素肥料過多になっている
  • 同じ種類の植物が集まっている

温度と湿度の条件は、真冬や真夏を除いたら大体適合するので仕方ないです。他の条件はなるべく満たさないように環境を整えていきましょう。

うどんこ病は違う植物には感染しない

うどんこ病菌は感染する植物によって種類が異なります。ある種のうどんこ病菌が別の植物に感染することはありません。例えば、キュウリに繁殖したうどんこ病菌が、トマトに感染することはないのです。

上記「うどんこ病菌の繁殖に適した環境」にあげた「同じ種類の植物が集まっている」という条件は、うどんこ病菌は同じ種類の植物なら問題なく繁殖できるからなんですね。

うどんこ病菌の天敵

うどんこ病の原因であるカビ(糸状菌)には天敵が存在します。

まずは以前記事にあげたキイロテントウシロホシテントウなどの菌食性の昆虫です。葉には傷つけず、病原菌だけを上手に食べてくれる可愛らしい存在です。

次にうどんこ病菌に寄生する菌(菌寄生菌)の存在です。アンペロマイセスといいますが、この菌がうどんこ病菌に寄生し、菌を病気にして蔓延を防いでくれるのです。しかもアンペロマイセスは寄生するうどんこ病菌の種類を問いません。

雑草による草生栽培でうどんこ病の天敵を増やす

さて、ここまで読まれたなら答えも想像ついていると思います。メインの植物の近くで雑草のうどんこ病を発病させ、天敵の菌寄生菌をあらかじめ呼び込んでおけばいいのです。先述したとおり、雑草のうどんこ病菌が他の植物に感染することはありません。

このように、作物と雑草を共生させるメリットを活かす栽培方法を「草生栽培」といいます。

草生栽培の例

よく利用される草生栽培の組み合わせの例です。

  • メロン:スズメノテッポウ
  • ブドウ:オオバコ
  • ミカン:ナギナタガヤ、ヘアリーベッチ
  • ウリ科やナス科:ムギ
  • アブラナ科:ハコベ、シロツメクサ

これらの組み合わせはうどんこ病対策だけでなく、害虫対策となる益虫の温存や、土壌の地温や水分を適切に保つマルチ代わりに活用できる場合もあります。

このような関係はコンパニオンプランツということができます。下記、木嶋利男さんの書籍には雑草を活かした草生栽培についても記載されており、たくさんの気づきを得られる良書です。ご興味があれば手にとっていただけると幸いです。

うちの菜園で利用しているホワイトクローバー

草生栽培は自然に生える雑草を利用するケースもありますが、緑肥として販売されているものも多いです。菜園の草生栽培のパートナーとして、私はまずマメ科のシロツメクサ(ホワイトクローバー)を選びました。

シロツメクサはマメ科なので、根粒菌の働きで空気中の窒素を固定します。生やしているだけで土壌が肥沃になり、窒素肥料の施肥量を抑制できます。草丈は低く日照の競合となる心配もそれほどありません。

ただし、シロツメクサは一度はびこると根絶が難しい植物です。生やす場所を限定させるといった対策は必要になります。

家庭菜園を始めてから半年ほどの短い期間ですが、これまでミニダイコン、ホウレンソウ、ベビーキャロット、トマト、ナス、フルーツパプリカ、バジル、パセリと同じスペースで育ててきています。幸いにも作物に病気が出たことは一度もありません。害虫のヨトウムシくらいです。

うどんこ病がすでに蔓延していたら

もう既にうどんこ病がでちゃってるよ!という場合、今から草生やすとか悠長なことはいってられません。でも薬剤は使いたくない、となると私ならこんな製品を選びます。

うどんこ病だけでなくアブラムシ、ハダニ、コナジラミにも効果が期待できます。さらに食酢100%で植物の栄養にもなり、収穫直前まで安心して使える製品です。

さいごに

雑草によるうどんこ病の対策を知ったときは目からウロコでした。雑草も付き合い方によっては心強い味方になりえるというのは、モノグサな自分がまさに求めていた情報です。

私はこれからも草生栽培やコンパニオンプランツを実践していきます。その失敗や成功は順次お伝えできればと思っています。

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