マリーゴールドといえばガーデニングでよくみかける可愛らしい花です。それだけでなく、マリーゴールドは農業においても土壌改善や害虫忌避に有効なコンパニオンプランツとしても知られています。
マリーゴールドに期待できる効果
各種センチュウの抑制
マリーゴールドを栽培するメリットとして、おそらく最も有名な効果だと思います。
センチュウ(線虫)とは土壌中に存在する、肉眼でほぼ視認できない生物です。植物の害虫としてネコブセンチュウやネグサレセンチュウなどがおり、いずれも作物の生育不良や減収を引き起こします。
センチュウの駆除には農薬を使う方法もありますが、家庭菜園ではマリーゴールドのような対抗植物を利用する方がなにかと安心です。マリーゴールドの根からは「α-テルチエニル」というセンチュウの殺虫成分が分泌されるため、センチュウ駆除に確かな効果があります。
センチュウ被害にあいやすい植物とマリーゴールドの混植はベストマッチといえるでしょう。
天敵を温存し害虫に対抗
土着の天敵(クモ類など)がマリーゴールドをすみかにし、各種害虫を捕食してくれます。
例えば、ナスとフレンチマリーゴールドの混植で、害虫であるアザミウマ類の天敵、ヒメハナカメムシを呼び込み、ナスのアザミウマ被害を抑制する手法があります。
コガネムシ幼虫の抑制
コガネムシの幼虫といえば、植物の根を食害して最悪枯らせてしまう重要な害虫です。マリーゴールドの種類によって効果は異なるのかもしれませんが、マリーゴールドがコガネムシ幼虫の防除に効果があるという興味深い資料がありました。
1980年という古い資料ですが、コガネムシ幼虫の生息密度、および後作のダイコン被害ともに、マリーゴールドを用いることで有意に減少する結果が示されています。栽植だけではなく茎葉のすき込みによる影響も考慮する必要がありますが、これが事実ならマリーゴールドの価値はさらに高くなると思います。
ただ試験に用いた品種はメキシカンマリーゴールドを利用しています。緑肥用のメキシカンマリーゴールドは販売されておらず、それ以外でも取り扱いは少ないようです。他のマリーゴールドでのコガネムシ防除効果はハッキリしませんが、プラスの効果を期待したいところです。
緑肥効果
マリーゴールドを土壌にすき込むことで、良質な有機物補給や病害虫の予防といった緑肥効果が期待できます。マリーゴールドが枯れる前に裁断してすき込むことが重要だといわれています。
緑肥用マリーゴールドの品種
園芸品種よりも緑肥効果を高めた各種マリーゴールドが販売されています。
アフリカンマリーゴールド(万寿菊)
アフリカン種のアフリカントールは草丈が50~100センチほどになり、黄色や橙色の大きめな花を咲かせてくれるため景観用としても優れています。
ただし、後作のダイコンへのネグサレセンチュウ被害率が50%とそれなりに高いため、センチュウ駆除を目的とするのであればフレンチ種を購入する方がよさそうです。また、栽培後の株重量もフレンチ種には劣るため、土壌にすき込む場合の有機物量も少なくなります。
フレンチマリーゴールド(孔雀草)
フレンチ種のグランドコントロールは草丈が80~100センチほどになり、橙色の小さめな花を咲かせてくれるため景観用としても使えます。ただ、やはり園芸品種と比べたら見劣りすると思います。
後作のダイコンへのネグサレセンチュウ被害率が15%と、かなり高いセンチュウ駆除効果を期待できます。分枝性で株張りするため、有機物の生産量が豊富です。私はこちらのグランドコントロールを選択し栽培しています。
フレンチ種のエバーグリーンは花が咲かない品種です。草丈は50~100センチほどになります。花が咲かないことは少し寂しいかもしれませんが、花を食害するオオタバコガ幼虫の被害にあわない上、株の老化が遅くなるという優れた特長でもあります。
緑肥効果も抜群です。後作のダイコンへのネグサレセンチュウ被害率がたった5%に抑えられます。さらに分枝が旺盛で地面を早くから被覆するため、雑草も抑制できます。有機物の生産量はアフリカントールの2倍以上です。
緑肥効果だけに振り切るなら、エバーグリーンは最適な品種だと思います。
マリーゴールドの病害虫
マリーゴールドは比較的栽培しやすく病害虫にも強い植物なので、そこまで神経質になることもないと思います。
害虫はアザミウマ、アブラムシ、エカキムシ、ナメクジ、カタツムリ、カメムシ、コナジラミ、ハダニ、ネキリムシ、ヨトウムシ、ハマキムシなど。
病気はうどんこ病、立枯病、灰色かび病、斑点病など。
私の経験上、マリーゴールドはナメクジの被害に非常にあいやすいので、特に小さい苗のうちは対策してあげると元気に育つはずです。以前紹介したスラゴは、土壌汚染や他の有益な昆虫などへの被害もほぼないのでおススメします。
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